本匠地区(旧本匠村)には、南海部の大河、番匠川の源流がある。その川を内懐に抱くように名もなき山々や清冽な渓谷や里山が調和的に時を刻んできた。その調和が崩れんばかりに里山だけが、今、息も絶え絶えである。その沈痛な声がそこに生を受け育まれた者達の心を否応なく衝いてくる。里山の消滅はこれらの者達にとってその存在証明を断ち切られることを意味する。大袈裟なことではない。切実な問題である。ふるさととは、そういう代替のきかない尊い場所なのである。この里山を未来に継承していく道を探したい。本匠振興組の原点である。

 その思いを言葉で伝えることは難しい。せめてふるさとの光景を紹介しその思いを共有してもらうことが出来ればこれ以上の幸いはない。