ルート7

元越山~ワルサ山~鶴御崎

鶴御崎は九州最東端にあり四国は指呼の間である。龍が豊後水道に潜り込もうとしているように見える鶴見半島の突端にある。佐伯湾を挟んでその北側にある四浦半島も同じ形状に見えなくもない。佐伯湾は「二匹の龍」に守られているのである。雄龍(四浦半島)と雌龍(鶴見半島)とでもいえようか。 

鶴見半島には落住の人々や切支丹の歴史伝承が多く残る。それらの末裔達はこの半島に十数Kmに及ぶ見事な「しし垣」を残した。この延々と続くしし垣もまた「樹林に伏せる臥龍」の如きである。これが囲う天を衝く段々畑も圧倒的な景観を有して残っている。ただ、いずれもウバメ樫の自然林にすっかり埋もれてしまった。 

支配者の城郭遺構は注目されて被支配者による偉大な生活遺構が注目されないのはおかしなことだ。これだけの見事な遺構である。民衆史、民俗史の秘蔵品になり得よう。その罪深いウバメ樫の樹林もまた素晴らしいときてはたまらない探勝ルートである。 

半島の中央にある猿戸は柳腰のようにくびれていて今にも千切れんばかりである。国木田独歩が夜船で「鹿狩り」に訪れ名作を生んだ舞台でもある。鶴御崎の手前の下梶寄には水の子灯台の旧職員退息所がある。この半島は「喜びも悲しみも幾歳月」の映画の舞台でもある。

未踏査

未踏査

しし垣踏査済み

しし垣踏査済み